2017 Venezia

 

 
 
結婚以来25年に渡りビエンナーレと仕事のため毎年訪れているヴェネツィア。 主人が学生時代を過ごした街、着陸が近ずいてラグーンが見えてくると 何か ほっとする。

 

 

 
 
 
アドリア海に陽が沈み美しい夜景を見ながらヴァポレットで本島へ。小さな路地 を入るといつものオステリア、心地よい宵に皆グラスを片手に路上でお 喋 り・・・ヴぇネツィアらしい光景。

 

 

 
 
ヴェネト地方のワインやチーズ、ハムなどがカウンターで頂けるこのお店、ヴェ ネト地方のコネリアーノ産の発泡性ワイン、プロセッコはさまざまな種 類があ り興味深い。久しぶりの再会を祝ってオススメを頂く。

 

 

 
 
 
ヴェネツィア国際映画祭でどこのホテルも一杯のこの時期、いつものホームは取 れず、面白いアパルトマン形式のホテル。パリでもオーナーが不在の時 だけ貸 すアパルトマンホテル。ヴェネツィアらしい奥まった路地の不思議な建物・・・。

 

 

 
 
 
ヴェネツィアにきたら朝ゴハンはこのサンドイッチがお約束。ヨーロッパでは珍 しい薄いパンにフィリングがいっぱいいっぱいのこのサンドイッチ、ル コラと トマト・モッツァレラ、ハムとカルチョーフィ(アーティチョーク)、卵とアス パラガス・・・いくつでも頂けそう!

 

 

 
 
 
 
何回来ても、ヴェネツィアのこの光景はつい写真を撮りたくなる。快晴の青空と エメラルドグリーンのアドリア海があまりにも美しく・・・。ヴァポ レットか ら乗り出すように写真を撮るおじ様たちも本当に嬉しそう!

 

 

 
 
 
主人が学生の頃から通っているオステリア、オーナーのお名前が偶然にも 「MOMI」というので私も結婚以のお付き合い。私の好きなモノを熟知して 下さっていて、オーダーも何もなくあっと言う間にヴェネツィアらしいアンティ パストが並ぶ。冷えたプロセッコと共にようやくほっとする。

 

 

 
 
もう長いお付き合いのホテルの方々とも久しぶりの再会、昔私が泊まっていた小 さなお部屋も今は改装されて立派なスィートに。その頃はアクアアルタ (水位 が高く)で帰れないスタッフのためのお部屋だった。バルコニーがあってプレゼ ン用の台をペイントしたりまるで自分のアトリエの様に過ごして いた懐かしい 思い出。

 

 

 
 
 
ヴェネツィアの小路はどこも映画のようで歩いているだけでも楽しい。快晴の今 日、建物の陰影と運河の水の色、ゴンドリエールの口ずさむ歌・・・。

 

 

 
 
太陽が照りつけキラキラと光るアドリア海を風を切って進むヴァポレット、もう すぐビエンナーレの会場ジャルディーニに到着。

 

 

   
 
 
今年もビエンナーレの季節、快晴のヴェネツィア。ジャルディーニの真っ赤なパ ネルにアドリア海の光がキラキラと反射して眩しい。現代アートと建築 を隔年 で開催するこのヴェネツィア・ビエンナーレ、結婚以来ほぼ毎年来ている。今年 は銀婚式なのでもう25年も来ていることになる・・・。 ジャルディーニの会場は各国のパヴィリオンにその国のアーティストが展示する、イメージとしては万博のような。 今や国籍も活動のエリアもクロスオーバーの時代、 活動の拠点と国籍が一致しないアーティストも多く、改めて「国民性」が浮き彫りになるのかも知れない。

 

 

 
 
ジャルディーニの会場は各国のパヴィリオンが広大な敷地に点在している。チ ケットオフィスは毎回建築家のデザインで既に現代アートのよう。

 

 

 
 
 
 
 
今年のヴェネツィア・ビエンナーレのディレクターはポンピドーセンターのチーフキュレーターのクリスティーヌ・マセル。4年前にはフランス館 の キューレーターをつとめた女性でポンピドーセンターに若手アーティストの発表の場「ESPACE 315」を設立したり、大好きなアーティストフィリップ・パレノの展覧会を企画した人とあって楽しみ。今年のテーマは「ビバ・アルテ・ビバ」芸術万 歳?

 

 

 
 
85の国別パヴィリオンで構成されるこのビエンナーレ、そのうち29館がこの ジャルディーニ公園にある。スイス館はブルックリンに拠点を置くアー ティス ト、キャロル・ホベ氏の彫刻作品。

 

 

 
 
1950年代にイタリア人の建築家、カルロ・スカルパが設計したヴェネズエラ館

 

 

 
 
 
1956年にの石橋正二郎氏の支援により吉坂隆正氏設計の日本館が竣工。築60年の今年、展示は国際交流基金の指名コンペティ ションで選ばれた金沢21世紀美術館のキューレーター鷲田めるろ氏の キュー レーションによる岩崎貴宏氏の作品「逆さにすれば、森」。

 

 

 
 
 
イギリス館

 

 

 
 
 
フランス館はグザヴィエ・ヴェイランのパフォーマンス。音響設備も整っていてコンサートも聴いてみたい。

 

 

 
 
木漏れ日の中、カナダ館の水のインスタレーションがキラキラと光って美しい。 暑さもあって子供達がインスタレーションの中で遊んでいるのも微笑ま しい光景。

 

 

   
 
 
 
 
今回のビエンナーレで金獅子賞に選ばれたドイツ館、展示はアンネ・イムホフ氏 率いるグループのインスタレーション。ドイツ館の展示はいつも大掛か りな 上、重厚で完成度が高くいかにもドイツという感じ。 しっかりきっちり作りこまれていて、「軽やかさ」とか「はかなさ」とは真逆の 感性・・・。

 

 

 
 
アメリカ館は意外なことにビエンナーレではいつもあまり印象に残らない・・・。

 

 

   
 
 
 
フィンランド、ノルウェー、スウェーデン3国によるスカンジナビア館。自然の 樹木を切らずに建物に取り込み、その成長と共に木陰も変化する面白い パヴィ リオン。大木の陰がメタル製の作品に映ったり反射したり・・・何ともポエ ティック。

 

 

 
 
チェコスロバキア館

 

 

 
 
オランダ館の今年のテーマは「CINEMA」、超シンプルだけれど強いメッ セージのある展示が興味深い。

 

 

 
 
こじんまりとしていながら何とも雰囲気のあるベルギー館。砂糖菓子のような不 思議な質感のパヴィリオン。

 

 

 
 
ドイツ館と並んで毎回興味深い展示のスペイン館。外観もパヴィリオンというよ り「城壁」のような迫力、いつか行ったアヴィラの城壁を思い出す。

 

 

   
 
 
 
ようやくビエンナーレを見終わり、薄く暮れてゆくアドリア海を見ながらヴァポ レットに乗る。少し疲れたのでいつものホーム、おつまみやさんと名付 けてい るオステリアへ。アンチョビの酢漬けやトレヴィスのグリル、オリーブのフリッ トにカルチョーフィ(アンティチョーク)と、どれも美味しそう で迷っている うちに次々と後ろから大男がオーダーして行く。きっと私のことは見えていな い・・・!?プロセッコと共にまずはごきげんなアペリティ フ。

 

 

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ホテルの前の広場にあるお野菜のスタンド、この季節ならではのフンギポルチー ニを発見。たっぷりのパセリとオリーブオイルでソテーにして頂きた い!

 

 

 
 
SANTA MARIA FORMOSA広場に面して建つカルロ・スカルパ設 計のクエリーニ・スタンパ‐リア財団、かつてここのミュージアムショッ プの仕 事をしていたのでこの広場に面したホテルがホームとなって・・・。よく打ち合 わせをしていた懐かしいロビーから久しぶりの景色を眺める。本 当に美しい大 好きな広場。

 

 

 
 
夜も同じくホームのオステリアへ。「今日はどうだった?」と本当にホームのよ うでオーナーと積もる話をしつつまずはプロセッコで乾杯。なんせオー ナーの お名前が「MOMI」なので次々に入ってくる常連さんが口々に「チャオ  MOMI!」と・・・。サルディンサオールやポレンタ、鱈のクリー ムなど好 きな物だけを盛り合わせて下さる。BARICHELのプロセッコが軽くてとて も美味しい。

 

 

   
 
 
今晩はオーナーのお嬢様のお誕生日というのでお友達が集まってのディナー、若 くてはじけるような笑顔の彼女たちと記念写真を撮るのはなんだか恥ず かし い・・・。「あなたもMOMIっていう名前って本当?」私だって聞いた時は本 当にびっくりしたもの!

 

 

 
 
素晴らしいお天気に恵まれた今日、夜も海からの風が気持ちよい。久しぶりに ヴェネツィアの夜を歩く。紺青に光る海に浮かび上がるようなリアルト橋 や泊 めてあるゴンドラ、私のホームの小さなホテルも夜景になると何か素敵!

 

 

 
 
 
計画的に作られた小道、パラディーゾ通り。木の持ち送りが連なって独特の雰囲気。

 

 

   
 
 
仕事でもヴァカンスでもホテルで過ごす時間がとても多い私。一つ一つのことが きちんと整理されていないと次に進めないのは子供の頃から変わらな い。今日 も午前中はホテルでデータ整理やメールの連絡、街の声が細い路地にこだまし て、窓からはかすかな海の匂い・・・ヴェネツィアらしい朝。

 

 

 
 
ビエンナーレ開催中のヴェネツィアは街中にアートが溢れている。運河から見え る数々のパラッツォにこんな作品がインスタレーションされているのも 楽しい。  

 

 

 
 
午前中をホテルでゆっくり過ごすと何とも落ち着いた気持ちで午後を過ごせる。 「やるべき事が何も溜まっていない」が理想だけれど・・・。世界で一 番好き なレストラン?と思っているホームのリストランテへ。その昔はここにお住まい の主人の先生のお宅にいつも泊めて頂いていた懐かしい小路、建 物の色も独特 で何とも素敵。  

 

 

 
 
 
 
一年ぶりの再会、いつも温かく迎えて下さるマダム。日本からお送りした写真を とても喜んで下さって、また今年ヴァージョンを後でね!と早速オスス メを伺 うもいつも通りお任せに。美しいアンティパストが次々に並ぶ。少しずついろい ろなヴァリエーションを頂きたいという私の好みも良くご存知。 冷えたプロ セッコがことのほか美味しい。  

 

 

 
 
ヴェネチア独特のシャコ、イタリア語ではカノッキエと言うけれどここヴぇネ ツィアでは「カノーチェ」と発音する。軽くグリルしたカノーチェの香ば しさ がプロセッコにぴったり。普段は頂かないプリモもこのリストランテではついも う一皿・・・小さなニョッキ、ニョケッティと白身のお魚という ノーブルな一 皿。黄色い壁の中庭に葡萄の棚ごしに光が降り注ぐ・・・本当に夢のようなリス トランテ。何よりも素敵なのはマダムのお人柄、来年もま たぜひ伺いたい。  

 

 

 
 
 
ビエンナーレのもう一つの会場アルセナーレに行く途中にある旧造船所。建物正面の翼のある獅子のレリーフにヴェネツィア共和国が海の覇者で あったことを思う。  

 

 

   
 
 
ヴェネツィア・ビエンナーレはジャルディーニ(公園)内の各国パヴィリオン と、アルセナーレ(旧国立造船所)の2つの会場で開催されている。私個 人と しては「国籍」に捉われることなく見られるアルセナーレの方が好き。広大なス ペースに延々と現代アートが続く・・・。  

 

 

 
 
 
 
今年のテーマは「VIVA ARTE VIVA」、芸術万歳!?ポンピドーセン ターのチーフキューレーター、クリスティーヌ・マセルという女性がディレクター。  

 

 

 
 
旧造船所らしい高い天井に美しいインスタレーションが続く。  

 

 

 
 
 
私は現代アートの専門家ではないので、私にとっては各々の作品というより、こ の広大な空間、空気感を感じられるインスタレーションを体感するのが アルセ ナーレの魅力。  

 

 

   
 
 
その昔はジャルディーニだけが会場だったビエンナーレ。ジャルディーニに国別 パヴィリオンを持てなかった国(中国など)やテーマ展がこのアルセ ナーレで 開催されている。長い船舶縄製造所を抜けると海が見えてくる・・・。巨大な大理石の 珠が静かに佇む何ともシュールな眺め。  

 

 

 
 
 

アルセナーレの最後に大きなイタリア・パヴィリオンがあ る。錆びた鉄のアーチが造船所の雰囲気に合っていて・・・誰のデザイン だろ う?体感型のインスタレーションはやっぱり面白い。

 

 

 

 
 
 
アルセナーレも毎年ここまで来ると何となくほっとする。影の無いこの場所、こ こ数年は灼熱で歩けなかったけれど今年は海からの風が気持ちよく、水 面に映 る教会を遠くに眺める。  

 

 

 
   
 
 
1895年に始まってもう120年以上の歴史をもつヴェネツィアビエンナー レ、「ビエンナーレ」とはイタリア語で「2年に1度」という意味だけれ ど、 隔年で現代アートと建築が繰り返すのも面白い。万博やオリンピックのように国 が出品単位で、ジャルディーニとアルセナーレの会場のほか市内の 邸宅でもさ まざなアーティストの展覧会があるこの時期のヴェネツィアはやっぱり華やか。  

 

 

 
 
アルセナーレを見終わるとちょうど陽が沈み始め、海に映る夕陽と刻々と色を変 えていく空、あまりにも美しい・・・。  

 

 

 
 
  今晩もホームのオステリア、お店の外まで人が並んでいてプロセッコを持った オーナーが「とにかく待ってて!」と。ようやく席に着くもオーダーどこ ろで はない大混雑。無言でピザが出て来て「コレ食べて待ってて!」・・・まるで映 画のような光景を眺めつつプロセッコとピザ。今晩もお気に入りの アンティパ ストと「季節だから!」とメニュウにはないフンギポルチーニのタリアテーレを 作って下さる。大変な迫力のディナー、食後酒にリモンチェ ロを頂きようやく 落ち着く。

 

 

 
 
今日も午前中はホテルで静かに過ごす。広場を見渡せるサロンでお茶を頂きつつ お礼状やお手紙を書くのも素敵なヴェネツィアの朝の過ごし方。  

 

 

 
 
 
FONDAMENTE NOUVEからヴァポレットで20分ほどでムラノ島へ 着く。島全体に幾つものガラスの工房、工場、ショウルームが運河沿い に続 く。新婚旅行で訪れた25年前、VENINIで求めたワイン用のピッシェは今 も我が家の愛用品、懐かしい思い出が蘇る。  

 

 

 
 
 
ガラスの工房は大きな炉で炎が燃え滾った中にガラスを入れて溶かすので大変な 暑さ。職人さんが魔法のようにガラスを操り、冷えて固まらない内に あっとい う間に形に仕上げる。まるで飴細工のよう。いつまでも見ていたい・・・。  

 

 

 
 
ヴェネツィアンガラスは小さくても光を集めてインパクトがあるのでデザイナー にとっては魅力のある素材。新しいコレクションのインスピレーション を大い に刺激され、美しい素材も入手できて大満足。小さなガラスの島、ムラノ島を後 にする。  

 

 

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カルロ・スカルパが改修した美術館、クエリーに・スタンパリア財団。美しい庭 園も運河に面した展示室も素晴らしく、小さな宝石のような美術館。経 営が変 わるまで私の作品もこの美しいミュージアム・ショップに置いてあり、ディスプ レイもとても気に入っていたけれど何より良く売れた。世界でも珍しいハイクオリティなミュージアムショップだったけれど、今はスー ベニアショッ プのようになってしまって本当に残念・・・。 現在の改修はスイスのマリオ・ボッタ氏 によるもの。  

 

 

   
 
 
  今回のヴェネツィアは灼熱の昨年と違って爽やかなお天気に恵まれた。ヴァポ レットまでの道も気持ちよく、久しぶりに美しいサンティ・ジョヴァン ニ・ エ・パオロ聖堂を眺める。ヴェネツィア共和国歴代元首(ドージェ)の内25人 が埋葬されているパリのパンテオンのような聖堂。ゆっくり歩くと 見るべきも のばかりで名残惜しいヴェネツィア

 

 

 
 
 
  名残惜しいと思っていた快晴のヴェネツィアの空、ヴァポレットに乗っている間 にみるみる暗くなり空港に着く頃には大雨に・・・。お天気に恵まれた ことに 改めて感謝。

 

 

 
 
  25年前とは隔世の感のあるマルコ・ポーロ国際空港。主人が留学していた35 年前からすると・・・。初めて着いた時はここがヴェネツィアはおろか イタリ アである事がにわかには信じられない、まして「空港」とは思えないような佇ま いで、その後ラオスやミャンマーに降り立った時「昔のヴェネ ツィアみたい」 と思い出したくらい。  

 

 

 
 
 
機材繰りの関係かなかなかチェックインが始まらない。ふと見ると、まだスーツ ケースを乗せる前から既に?超過荷物の軽量も昔に比べてすっかり厳し くなっ た最近、ヴェネツィアはやっぱり時が止まっているのかも知れない・・・。

 

 

 
 
trip index エール・フランスのパリ便、最終便だと言うのに何かトラブルがあったらしく長 らくディレイ、チェックインも出来なかった。ようやくラウンジに到 着、冷え たプロセッコとピザをつまみつつ楽しかったヴェネツィアを振り返る。最終便が 飛びますように・・・。 page top

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